2019/05/19 20:55

僕はびっさんをゆっくり見る

さっきからびっさんは

僕の横に並んで

すわって

じっとしている

いつもみたいには僕を見つめない


うさぎのびっさんにとっては

僕の住む小さな町だって

大きな宇宙みたいにひろくて

きっと、怖かったと思う


なんでもない散歩も

宇宙旅行みたいに

一代決心レベルの大冒険だったんだと思う


小さい時の僕にはそれがわからなくて


「なんだよびっさん

せっかく散歩に来たのにさ

楽しくないのかよーーーー」

と、、、隣のびっさんに一方的に話しかけた

びっさんは鼻をひくひくさせてるから

返事をしているように見えて、僕は会話を続ける



いつのまにか

びっさんはその宇宙旅行に慣れてきたようで

散歩を嫌がらなかった

(首輪は嫌がって1回しかしなかった)

毎度毎度

僕はびっさんをゆっくり見て

びっさんと並んで

すわって会話してすごした

それがびっさんと僕の散歩スタイルだ

そして僕らはその散歩をよく楽しんだ



色々な場所

びっさんにはどうみえたんだろか


僕は、びっさんはうさぎだから

緑の草があるところが良いと思ったし

周りの大人たちにも言われたから

公園や原っぱによく行った

でもびっさんは

爪をカリカリしたいらしくて

コンクリートがお気に入りみたいで

熱くないコンクリートのところでは

じっとしてなかった


僕は

びっさんはうさぎみたいだけど

うさぎじゃないんだろか?とか

変なうさぎだとか、とよく思った



世界の見え方は1つじゃない

決まってない

僕にみえてる世界は

びっさんには違う世界にみえてるかもしれない

なんでもそうだ

世界は、世界で起こってることや感じてることは

クイズ番組のクイズじゃないから

正解は1つじゃないかもしれない

僕にとっての正解は

びっさんにとっては不正解かもしれない


今の大人になった僕には

それを理解している

時々、頭と心がすれ違う時があるけど

でも理解している



びっさんとの散歩で

それがわかるようになってきたのかもなあ



続きは

また今度